二〇一一年三月十一日。日本を揺るがした東日本大震災による未曾有の災害は、私たちの人生観や価値観に影響を与える大きな出来事でした。そして、いまだ福島第一原発事故の脅威は続いています。そんな中、私たちは人間が生きる上で最も根源的な営みの一つである「食べること」に考えが及ぶようになりました。私たちが着目したいのは、例えば、普通の人の食卓の風景。食の基本は毎日の食卓にあると私たちは考えています。何が食べたいか、どの店で食材を選ぶか、どのように調理するか、どの食器で食べ、どんなふうに時間を過ごすか、それら全てを自分の意志で決める場所だと思うからです。私たちは津々浦々の食卓で、食べることについての話を聞いたり、調理の様子などを取材し、食卓の風景から、あらためて「食べること」について考えてみたいと思います。また、私たちは、自分の身体の中に入れるものが、何処でどうやって育った食材かをしっかりと把握し、大事に無駄なく食べたいと考えています。だから、山や里、海での生産や加工の現場、そこに携わる人々に会いに行き、その土地の風土で育つ食材、食べ方など、私たちがこれまで知らなかったり意識しなかった、食べもののいろいろを再確認し、一人でも多くの方と共有していきたいと思っています。その他、食を起点に、さまざまな視点から「食べること」への認識を肥やす情報を紹介していきます。今だからこそ「食べること」の意味、楽しさ、大切さ、そして、未来のために考えなければならないことなど、あらためて「食」の中から探っていきたいと思います。
JPY 500.00 — Released 30 April 2013
◎巻頭特集 種、蒔く人 就農して19年 直向きに有機無農薬栽培に取り組んできた熊本・植木町の農家 寄元和浩さんは農の智恵を伝えることと自給自足を目指している。その農と生活に焦点を当て 生産者 消費者 小売(流通) それぞれの未来の在り方を考える。
◎人と珈琲 豆香洞コーヒーの後藤直紀さんは 昨年 日本で開催された「ジャパンコーヒーローストチャレンジ2012」で優勝し 「The Coffee Roasting Challenge 2013」(2013年6月 フランス・ニースにて開催予定)に日本代表として出場する権利を獲得した。しかし高い技術を持ちながら敢えて 後藤さんは「80点の珈琲」を理想とし焙煎した豆を提供する。その理由とは。
◎食卓の風景「日々の根」 熊本市内に住む ごく平均的な家族 白石学嗣さんご家族の食卓の風景を見つめた。妻の亜希子さんは 週に4回ほど午前3時に起床し約15キロのジョギングを続けている。帰宅してシャワーを浴びたあと ひと息つく暇もなく朝食の準備に取り掛かる。毎日 忙しい日常を過ごす亜希子さんは 必ず家族が全員揃う朝食の時間を とても大切にしている。
◎たべものの素顔「真っ直ぐな、お茶」 熊本県球磨郡錦町で30年以上 有機無農薬のお茶づくりをする 林お茶園を訪ねた。そもそも無農薬のお茶を作ろうと思った切っ掛けを訊ねると 林さんは「自分のため」ときっぱり答えた。
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