二〇一一年三月十一日。日本を揺るがした東日本大震災による未曾有の災害は、私たちの人生観や価値観に影響を与える大きな出来事でした。そして、いまだ福島第一原発事故の脅威は続いています。そんな中、私たちは人間が生きる上で最も根源的な営みの一つである「食べること」に考えが及ぶようになりました。私たちが着目したいのは、例えば、普通の人の食卓の風景。食の基本は毎日の食卓にあると私たちは考えています。何が食べたいか、どの店で食材を選ぶか、どのように調理するか、どの食器で食べ、どんなふうに時間を過ごすか、それら全てを自分の意志で決める場所だと思うからです。私たちは津々浦々の食卓で、食べることについての話を聞いたり、調理の様子などを取材し、食卓の風景から、あらためて「食べること」について考えてみたいと思います。また、私たちは、自分の身体の中に入れるものが、何処でどうやって育った食材かをしっかりと把握し、大事に無駄なく食べたいと考えています。だから、山や里、海での生産や加工の現場、そこに携わる人々に会いに行き、その土地の風土で育つ食材、食べ方など、私たちがこれまで知らなかったり意識しなかった、食べもののいろいろを再確認し、一人でも多くの方と共有していきたいと思っています。その他、食を起点に、さまざまな視点から「食べること」への認識を肥やす情報を紹介していきます。今だからこそ「食べること」の意味、楽しさ、大切さ、そして、未来のために考えなければならないことなど、あらためて「食」の中から探っていきたいと思います。
JPY 500.00 — Released 2 August 2013
◎巻頭特集 「Papa, You're Crazy」 鹿児島県姶良市の陶芸家、古川博久さんが家族のためにつくる評判の手作り拉麺を取材。丸十年かけてたった一人で建てた工房、料理を始めた切っ掛けとなる渡米先での体験談、 料理で人を喜ばせたいと思うようになった話などなど、古川さんの人となりを伝える話を軸に、拉麺づくりの様子を紹介。
◎食卓の風景「食べる、学ぶ。」 福岡県大野城市にある保育園。 マクロビオティックに根ざした給食は、穀物や野菜、海藻などを中心とする日本の伝統食を基本とした食事を摂ることで、自然と調和をとりながら、健康的な暮らしを目指すものだ。給食室の調理風景、見て、触って、匂いを嗅ぐ 「食材についてのレクチャー」。そして、自分で食卓の準備をする子どもたちの風景を見つめた。
◎たべものの素顔「大空の下で。」 私たちは豚肉を食べます。しかし、食べている豚肉が食卓に上るまで、どのような生育状況で その短い生涯をどう過ごしたのだろうと考えることは殆どありません。7月初め。私たちは鹿児島県肝付町で 豚の放牧を行う養豚場を訪ねました。
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