二〇一一年三月十一日。日本を揺るがした東日本大震災による未曾有の災害は、私たちの人生観や価値観に影響を与える大きな出来事でした。そして、いまだ福島第一原発事故の脅威は続いています。そんな中、私たちは人間が生きる上で最も根源的な営みの一つである「食べること」に考えが及ぶようになりました。私たちが着目したいのは、例えば、普通の人の食卓の風景。食の基本は毎日の食卓にあると私たちは考えています。何が食べたいか、どの店で食材を選ぶか、どのように調理するか、どの食器で食べ、どんなふうに時間を過ごすか、それら全てを自分の意志で決める場所だと思うからです。私たちは津々浦々の食卓で、食べることについての話を聞いたり、調理の様子などを取材し、食卓の風景から、あらためて「食べること」について考えてみたいと思います。また、私たちは、自分の身体の中に入れるものが、何処でどうやって育った食材かをしっかりと把握し、大事に無駄なく食べたいと考えています。だから、山や里、海での生産や加工の現場、そこに携わる人々に会いに行き、その土地の風土で育つ食材、食べ方など、私たちがこれまで知らなかったり意識しなかった、食べもののいろいろを再確認し、一人でも多くの方と共有していきたいと思っています。その他、食を起点に、さまざまな視点から「食べること」への認識を肥やす情報を紹介していきます。今だからこそ「食べること」の意味、楽しさ、大切さ、そして、未来のために考えなければならないことなど、あらためて「食」の中から探っていきたいと思います。
JPY 500.00 — Released 6 October 2013
◎巻頭特集「心の結び目」 熊本市内にあるセレクトショップ「ロータス」では、オーナーの西岡直美さんの呼びかけで、お昼ごはんにスタッフそれぞれが用意した手作りのお弁当を食べている。何故、西岡さんは手作り弁当にこだわっているのか。「出来る限りで良い。自分が食べるものに責任を持って貰いたい」。始めた切っ掛けは一〇年前に遡る。
◎たべものの素顔「かちがある」 大豆の一人一日あたりの消費カロリーは世界第一位。にもかかわらず、国内自給率は二割を切り、輸入価格は高騰し、ここ十年で倍に。さらにはTPPという問題を前にして、日本の大豆事情は大きな岐路に立たされている。佐賀県吉野ヶ里町で無農薬無化学肥料の大豆づくりを行う大隈さんを訪ねた。
◎食卓の風景「See More Glass」 フレッシュなフルーツジュースやオーガニックグラノーラ、ジンジャーコーディアルなどの製造販売を行う『 Fructus 』のオーナー、成田博昭さん。食を見直すことで体調の変化を実感し、健康なお子さんを授かったという話を聞き、どうしても成田家の食卓を見てみたいと、東京から移住した福岡市のご自宅を訪ねた。妻・愛子さんの丹精込めた料理が食卓に並ぶ。
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